
ここ数年、家電量販店やネット通販で「TCL」という名前を見かけることが増えました。
サッカー日本代表・堂安律選手がCMに登場していることもあり、日本での知名度はじわじわと伸びている印象です。
とはいえ、「海外メーカーだけど大丈夫なの?」「安いけどすぐ壊れるんじゃない?」といった声も耳にします。
そこで今回は、TCLのテレビに関する評判や耐久性について、実際の情報やユーザーの感想を交えてお話しします。

TCLが気になっている方は、購入前の参考としてぜひご覧ください。
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耐久性や省エネ性能を第一に、コスパの高い商品を選択し執筆しています。
物価上昇に伴い家電製品の価格も変化しています。
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TCLはどこの国のメーカー?日本での存在感は?

TCLは、中国・広東省に本社を構える世界有数のテレビメーカーです。

日本法人は東京都中央区日本橋に拠点を構え、国内での販売やサポートを行っています。
製品ラインナップは4KやフルHD対応テレビを中心に、近年はチューナーレステレビにも参入。
テレビ以外にも冷蔵庫や洗濯機などの生活家電を手掛けており、総合家電ブランドとして世界各国に展開しています。
世界市場では2022年に韓国のLGを抜き、販売台数でサムスンに次ぐ第2位に浮上。
日本市場には2019年秋から本格参入し、2022年度には国内シェアが10%を突破しました。
さらに2023年4〜6月期にはシェア12%を記録し、輸入ブランドとしてはハイセンスやLGを抑えてトップに立っています。

急成長の背景には、生産から組み立てまでを自社工場で完結させる体制があります。
外部委託に頼らず、研究開発(R&D)と生産ラインを密接に連携させることで、新モデルをスピーディーかつ低コストで市場に投入できるのです。
こうした仕組みにより、国産メーカーと比べても遜色ない高性能モデルを手頃な価格で提供しています。
また近年では、パナソニックと製造面で提携し、小型〜中型テレビの一部モデルをTCLが受託生産する事例も出ています。

国内大手が依頼するほど、その製造品質は高く評価されています。
現在TCLのテレビは160以上の国と地域で販売され、サムスンに次ぐ世界的リーダー企業として地位を確立しています。

ではどうしてTCLのテレビは壊れやすいと思われているのか?幾つか例に挙げてみます。
TCLのテレビが壊れやすいと思われている理由


TCLのテレビが壊れやすいと思われている理由は幾つか考えられます。
- 「中国製」だから壊れやすいという先入観
- 過去の不具合事例で壊れやすい
- 販売台数が多いため壊れやすい
- 低価格のため壊れやすい
「中国製」だから壊れやすいという先入観


中国製の家電というと、なんとなく壊れやすいという印象を持つ方も少なくありません。
しかし実際には、国内の主要メーカーでさえ多くの製品を中国をはじめとした海外で製造しています。たとえば、国内大手のテレビでも生産拠点はマレーシアや中国であることが珍しくありません。
さらに、TCLは製造だけでなく、研究開発(R&D)にも力を入れており、日々品質や耐久性の向上に取り組んでいます。
むしろ、近年では「中国製=安かろう悪かろう」ではなく、「技術力とコスパのバランスが取れた安心な製品」という見方に変わってきているのが現状です。
生産終了 | |
---|---|
2012年 | 日立 |
2018年 | 東芝(ハイセンスに売却) |
2018年 | シャープ |
2021年 | パナソニック |
テレビ事業から撤退 | |
---|---|
2018年 | 日立 |
2024年 | 三菱電機 |
唯一、ソニーだけが国内に製造拠点を構えていますが、一部製品のみで多くの液晶テレビは中国やマレーシアなど海外で製造されています。
現在、国内メーカーは海外メーカーとの価格競争に敗れて以降、テレビ事業は縮小の一途をたどっています。
今ではテレビといえば中国のハイセンス・TCL、韓国のLG・SAMSUNGというように世界シェアを見ても国内メーカーが入り込めないほど大きな差が開いています。

ですので、中国製だから壊れやすいということはなく「中国製だから安心」という時代に変わってきています。
2019年に起きた不具合が影響?
TCLに対して「壊れやすい」というイメージが広がった背景には、2019年に発生した一部モデルの不具合が関係している可能性があります。
この度、2019 年 5 月 31 日より販売しております TCL 製液晶 TV の B40/D40 シリーズにおいて商品に不具合があり、衛星BS/110 度CS デジタル放送をご視聴される場合、生産過程のミスにより、放送電波を正常に受信していてもアンテナ信号レベルを「0」と誤って表示する障害が検出されました。(地上デジタル放送では、この障害はございません。)
TCL公式サイトより抜粋
TCL製液晶テレビ(B40/D40シリーズ)において、BS/110度CS放送の電波を正常に受信しているにも関わらず、アンテナレベルを「0」と誤表示する不具合が発生しました。(地上デジタル放送ではこの障害は確認されていません)— TCL公式発表より
この不具合は製造過程のミスによるもので、日本参入直後ということもあり、「大丈夫かな?」と不安を抱くユーザーも少なくありませんでした。

とはいえ、それ以降TCLから大きなリコールなどは出ておらず、現在は安定した品質の製品が販売されています。
売れているからこそ悪い声も出やすい


TCLは世界的に見ても販売台数が多いメーカーです。
当然ながら、多くの人が使っていれば、その分「故障した」「不具合があった」という声が出てくるのは自然な流れです。
これは、販売規模が大きいメーカーほど避けられない傾向であり、必ずしも「壊れやすいテレビ」という意味ではありません。

全体的な評価を見ると、TCLは「価格に対する性能・品質が高い」というポジティブな意見も多く、コスパ重視のユーザーからは特に高く評価されています。
「安い=壊れやすい」と思われている

TCLのテレビは低価格帯のモデルも多く、「格安テレビ」として紹介されることもあります。
ですが、安い理由は“手抜き”ではありません。
TCLはパネル開発から製造まで自社で行う数少ないメーカーで、外注ではなく自社工場で一貫生産しています。
このため、コスト管理がしやすく、品質を保ちながら価格を抑えることが可能になっています。
一方、アイリスオーヤマやマクスゼンなどの格安ブランドはOEM(相手先ブランド製造)が多く、委託先の品質基準に左右されやすい面もあります。
- OEMとは
-
OEMとはメーカーの依頼を受けて海外の工場を中心に製造します。
その完成品を自社ブランドとして販売する工程を指します。
OEMの良いところはコストを抑えて低価格で販売できる点です。
一方で悪い点は似たような製品が多いため他のメーカーとの差別化が図れないというデメリットも挙げられます。
TCLは最先端の技術を用いて高品質なテレビを自社で製造しています。
また世界第2位の販売台数を誇るので、その分一台当たりのコストも抑えられ低価格を実現できるということなのです。

TCLは格安テレビの中でも企業努力によって品質を落とさず低価格帯のテレビを販売しています。

TCLテレビの長所と短所を整理


TCLのテレビを選ぶときに押さえておきたいポイントを、メリットとデメリットに分けてご紹介します。
メリット
- コストに対して性能が高く、同価格帯では一歩上の画質や機能を備えています。
- QLEDやMini LEDといった最新技術も積極的に採用しており、映像の鮮やかさや明るさに優れます。
- また、自社で生産から品質管理まで行っているため、安定した製品供給が可能です。
- 世界市場でも販売台数が多く、信頼できるブランドとしての実績があります。

最新技術を試してみたい方や、性能と価格のバランスを重視する方にTCLのテレビはぴったりです。
デメリット
- エントリーモデルでは画質や音質が物足りなく感じる場合があります。
- 国内メーカーに比べるとサポート窓口の情報が分かりにくいこともあります。
- また、家電量販店などでの展示が少なく、購入前に実物を見られないケースもあります。

映像や音に強いこだわりがある方や、購入前に必ず現物を確認したい方にはやや不向きかもしれません。
TCLのテレビは壊れやすい?不具合事例をアンケート調査


では実際にTCLのテレビを利用している方々の声を見てみましょう。
TCLのテレビ|満足度調査

満足度 | 票数 |
---|---|
満足 | 40人 |
やや満足 | 39人 |
普通 | 15人 |
やや不満 | 17人 |
不満 | 11人 |
不具合や故障はありましたか?

不具合や故障 | 票数 |
---|---|
ない | 116人 |
ある | 6人 |
アンケート詳細
調査方法:Webアンケート(クラウドワークス)
実施期間:2024年10月〜12月
対象者:TCLのテレビを使用している122人
アンケートでは約5%の人は不具合や故障が発生したと回答しています。
この結果を見るとそこまで壊れやすいということはなく品質は問題ないことが伺えます。
ただTCLは日本市場に参入して間もないため、アンケートにお答えいただいた人の多くは使用年数が2〜3年になります。
ですので、現時点での耐久性は問題ありませんが、今後5年10年と使用年数が長くなれば品質面の問題点が出てくるかもしれません。

では不具合事例を見てみましょう。
- 初期不良による不具合・・・2件
- 動作不良による不具合・・・2件
- インターネット接続不良による不具合・・・2件
初期不良による不具合

購入商品:43V型 4Kテレビ 43P635
満足度:4.0
テレビが到着したらパネルに傷が入っていました。すぐ交換してもらいましたが、ちょっと不安の残るスタートです。
液晶パネルは衝撃に弱く、稀に上記のような事例が発生します。
Amazonや楽天市場などの口コミレビューでも同じような事例を目にします。
初期不良は基本的に交換してもらえるので、同様の症状があったときは購入先に問い合わせましょう。
購入商品:50V型 4Kテレビ 50C636
満足度:4.0
HDMI端子が入りませんでした。初期不良云々より検品してあるのか不安です。
交換品は問題なく使用できています。
2年使ってますが画質や耐久性は今のところ問題なさそうです。
この事例は滅多にないことかもしれませんが、テレビが到着したら外観のキズや入力端子の不具合が無いか確認しましょう。
またテレビの足がガタつく、不安定という回答もあったのでこちらも合わせて確認しましょう。
動作不良による不具合

購入商品:43V型 4Kテレビ 43C636
満足度:2.0
一年ほどで突然大音量でテレビが付き映像も乱れるようになりました。
初期化で直りましたが、やっぱり中国製はダメなのかな。
テレビの誤作動は、再起動や初期化で直ることがあります。
上記の事例は一時的なものかもしれませんが、頻繁に発生する場合は基盤に何かしらのトラブルが発生しているのかもしれません。
購入商品:43V型 4Kテレビ 43P635
満足度:3.5
外付けHDDが認識しなくなりました。
元々電源を入れて1〜3分ほどしないとHDDを認識しなかったのですが、BUFFALO製は相性があるかもしれません。
TCLのテレビは基本的にバッファローやエレコムなどの有名メーカーであれば対応しています。
もし、HDDが認識しないという症状が現れたときは、テレビの不具合ではなくHDD側のトラブルか、一時的な接触不良の可能性が考えられます。
一度HDDの再起動とケーブルの抜き差しを試してみてください。

それでも改善しない場合はHDDのメーカーに問い合わせましょう。
インターネット接続に関しての不具合

購入商品:50V型 4Kテレビ 50P635
満足度:4.0
たまにネット動画の映像が乱れます。
夜の時間帯は特に重く感じるのでストレスです。
今までこんなことが無かったので、頻繁に乱れや遅延が有れば問い合わせてみようと思います。
購入商品:50V型 4Kテレビ 50P635
満足度:3.0
電源を入れてWi-Fi接続されるまで時間がかかります。
本体の不具合かインターネットの不具合か判断つきませんがこれ以上ひどくなったら修理に出します。
TCLのテレビは海外仕様に少し手を加え日本仕様として販売しています。
そのため、地デジとの相性が悪いということは考えられますが、上記の事例はインターネット回線に問題があるように感じます。
国内の光回線をいくつか例に挙げるとNURO光やauひかりは独自回線になるので、インターネットの接続が混み合う時間帯でもストレスなく安定した接続が期待できます。
一方で楽天ひかりやソフトバンク光はNTT回線を使い自社サービスとして光回線を提供しています。
そのため、インターネット接続が集中する時間帯や土日祝日は回線が不安定になることがあります。
例:映像の乱れ、動作遅延、回線の切断など
TCLのテレビはこのような不具合事例も見られますが、決して壊れやすいということはなく品質面も問題ありません。
TCLは他社と比べてどう?ハイセンスやREGZAとの違いとは

TCLのテレビが注目される理由のひとつに、「低価格でも高画質」を実現している点が挙げられます。
とはいえ、他社の製品と比較した場合、どんな違いがあるのでしょうか?

この章では、同じく人気のあるハイセンスやREGZA(東芝)と比較しながら、TCLの立ち位置を見ていきます。
ハイセンス vs TCL :よく似ているが性格は違う

ハイセンスとTCLは、どちらも中国を代表するテレビメーカーです。
価格帯やスペックも似ていますが、実は開発姿勢には違いがあります。
ハイセンスは、日本メーカー「東芝」のテレビ事業を引き継いだことで、画質処理技術やチューニングに“日本らしい繊細さ”が加わっています。
一方、TCLは自社開発のパネル技術(QLEDやMini LED)に強みがあり、ハード面での先進性を重視する傾向が見られます。

つまり、ハイセンス=バランス重視、TCL=液晶スペック重視と捉えると、選び方も見えてきます。
筆者の個人的な印象としては、TCLよりもハイセンスのほうが総合的な完成度が高いように感じます。
特に、東芝の映像技術を受け継いでいることもあり、画質のきめ細やかさや音の臨場感、操作時のレスポンスなど、細部まで丁寧に作り込まれている印象です。

価格帯はほぼ同じでも、映像の処理精度や画質のまとまり方を見ると、ハイセンスのほうが一歩リードしている印象があります。


REGZA vs TCL :価格と完成度の差

REGZAは、今も“高画質テレビ”の代名詞として根強い人気を誇っています。
とくに国内向けのチューニングや、地デジ映像の美しさはREGZAならではの映像美が楽しめます。
ただ、そのぶん価格はTCLよりも高くなりがちです。
TCLは、チューナーレステレビやストリーミング視聴に特化したモデルを展開することで、コストを抑えながらも画質や機能に満足できる選択肢を用意しています。

そのため、「地デジ放送をきれいに見たい人はREGZA」、「YouTubeやVODメインならTCLでも十分」と、用途によって向き不向きが変わります。


まとめ:TCLのテレビは「壊れやすい」とは限らない
「中国製だから不安」「安いから心配」——そんな印象を持たれがちなTCLですが、実際には世界中で選ばれている理由があるテレビメーカーです。

過去の一部不具合や販売数の多さが、「壊れやすい」というイメージに繋がっているかもしれませんが、総合的に見ればコストと品質のバランスが取れたブランドだといえます。
購入を検討する際は、モデルのスペックや保証内容をしっかり確認し、自分の使い方に合った製品を選ぶことが、後悔しない選び方につながります。

それぞれの特性を理解したうえで、ライフスタイルや視聴環境に合わせて選んでみてください。
以下、2025年モデルの量子ドットテレビと4K液晶テレビです。どちらもコストパフォーマンスに優れており、画質を重視するなら量子ドット、価格を抑えたいなら4K液晶がおすすめです。
TCLテレビを選ぶなら──量子ドットと4K液晶、それぞれの魅力とは?

TCLのテレビでコスパ重視で考えるのなら、「量子ドット対応モデル」と「通常の4K液晶モデル」の2種類がおすすめです。
- リビングなどメインの視聴環境なら → 量子ドットモデル
- サブ機や予算優先なら → 4K液晶モデル
どちらも価格に対しての性能が高く、いわゆる“コスパ重視”の選択肢として注目されていますが、それぞれに向いているユーザー層や活用シーンが異なります。
▷ 画質にこだわるなら量子ドットテレビ


色彩の豊かさや明暗の再現力を重視する方には、量子ドット搭載モデルがぴったりです。
映画やスポーツ観戦、ゲームなど、臨場感ある映像体験を求めるならこのタイプ。Mini LEDほどではないにせよ、HDRコンテンツをより美しく表示できるのが魅力です。

▷ 価格を抑えてTCLを体験したいなら4K液晶モデル

一方で、通常の4K液晶モデルは、シンプルに4K対応テレビが欲しいという方や、あまり画質にこだわらずコストを重視したい方におすすめ。
リビング用というよりも寝室や子ども部屋など、“サブ機”として選ばれることが多いタイプです。サイズも比較的小さめのラインナップがそろっています。

